July 24, 2007

宮崎吾朗監督『ゲド戦記』

原作とは別のアースシー世界

才能は遺伝しないのね、とつくづくと思い知らされた作品。
なにを書いても批判になるので、ぐっとこらえていたが、辛抱たまらんわ。

原作(アーシュラ・K・ル=グイン)を再編するならするで、やりようもあるでしょ、という感じ。
メーンのストーリーは『ゲド戦記』第3作の『さいはての島へ』。
そこへ第1作の『影との戦い』、第4作の『帰還』を組み合わせ、オリジナルジュースを加え、かき混ぜたら、マズくて飲めないミックスジュースになってしまった。

魔法使いは登場するものの、ヒロイックファンタジーのようなチャンチャンバラバラはなく、比較的静かに進行していく作品なので、気の毒な面はある。
ただ、原作の世界観、象徴、隠喩を少しも意に介さない、やり方では原作者の怒りを買うのも、あたりまえ。
第3作を忠実に映画化すれば、それなりの作品になっていただろうに。
残念。

もっとも不可解なのは冒頭のシーンでアレンが父王を殺すこと(原作にはない)。
なんで?
殺してもいいが、その場合、「殺す理由」をきちんと描いてくれないと。
ただ、二重人格だから、では、だれも納得できんでしょ。

ゲドとアレンがテナーの家を訪ねた際、テナーがゲドを見て、(アレンという見知らぬ人間がいるのに)「ゲド」と本名で呼ぶのにも驚愕。
もちろん、「ハイタカ」でしょ。
アースシーでは本名を知られることは致命的。めったやたらに本名はださんよ。
もうちょっと原作を読んでほしかった。

原作を素材としてしか利用しないのも、ひとつのやり方ではあるけど、10年、早いわ。

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泉鏡花『夜叉ケ池 天守物語』岩波文庫

予想を裏切る、心地よい展開

鴎外の『青年』が忘れられた作品なのに対して、鏡花のこの2作は、まったく色あせていない。
しかも超現実的な話なのに、『青年』より、はるかに登場人物に共感できるのが不思議。

題材は日本的だが、日本的な矮小性を突き抜けた感もあり。
たとえば、「夜叉ケ池」では神の行動を契約で縛っている。
神との契約って、日本の伝統にあったっけ?
きわめて一神教的な考え方のような気がするが。

「天守物語」では簡単に主君を裏切る家臣が登場するなど、意外性も十分。
2作のうちでは予定調和的に進行していく(結末が見えている)「夜叉ケ池」より、読者の予想をはるかに超えた、ハチャメチャな展開を見せる「天守物語」のほうを買う。
鏡花の最高傑作かも。


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May 17, 2007

アリステア・マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』ハヤカワ文庫

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随一の冒険小説作家の超弩級の処女作

病院の検査と検査の間隔は死ぬほど長い。
退屈な時間を過ごすのに小説が欠かせないが、持ってくる本を間違えたかな、と思った作品。
暗いし、寒いし、バタバタと死んでいくし。

アリステア・マクリーンの処女作だが、いちばん、おもろいんじゃないの(『ナヴァロンの要塞』ほか数冊しか読んでいないけど)。
タイトル(ユリシーズ=オデュッセウス)からすると、最後が予測できるが、その人がだれか明らかになるのは493ページ中の440ページ目くらい。

第二次大戦中、ソ連へ向かう輸送船団護衛を命じられた英国巡洋艦ユリシーズ号の壮絶な戦い(ひとつは北海の気候と、もうひとつはドイツ海軍と)を描いたもの。
意外に『オデユッセイア』を踏襲していて、キュクロプロスやスキュレ級の怪物が次から次へと襲いかかってくる。

乗組員(艦長から水兵、船医にいたるまで)がかっこいい。
艦長と船医の会話。

「ブルックスがいいそえた。『三十分眠っては?』
『眠る?』ヴァレリーは、心底おかしがっているように見えた。『もうすぐ好きなだけ眠れるじゃないか』
『それもそうですね』ブルックスも同じた。『いや、そのとおりでしょう』」

そういう話だ。

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April 20, 2007

森鴎外『青年』新潮文庫

軽妙をねらって、軽薄に堕した?

「『なんとなくクリスタル』かいな」と思えるような作品だった。
数ページごとにフランス語の単語が原語で出てくるのだが、いかにも作品を軽くしている。
奇をてらってるの?

なんのために入れているのか、まったく不明。
本人や夏目漱石を思わせる人物も登場するので、一種のユーモア小説をねらったのかな。
それにしては主人公は、もんもんとしているし(しかも、まったく共感をおぼえない、もんもん)。
軽妙をねらって、軽薄に堕してしまったとしか思えんが。

もっとも冒頭の1行で「きゃはは」と笑ってしまったのは確か(作家が意図したわけではないが)。
だれが読んでも、(1行目だけは)笑えるのではないか。
これが「舞姫」を書いた作家の作品かと思うと拍子抜け。大事なことを見逃してるのかな?

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April 19, 2007

テッド・チャン『あなたの人生の物語』ハヤカワ文庫

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短編SFのオールタイムベストに入る秀作

これはお買い得かもしれない。
中国系アメリカ人作家によるSF短編集。邦訳は2003年の出版だ。

収録されている8編のうち、なんと3編がネビュラ賞の受賞作(ネビュラ賞はプロ作家によって、ヒューゴー賞はファン投票で選ばれる。ちなみに3編のうちの1編はヒューゴー賞も受賞している)。

表題の「あなたの人生の物語」、異世界でのバベルの塔の建設物語「バビロンの塔」、やはり異世界もので、破壊的な天使が登場する「地獄とは神の不在なり」の受賞作3編はもちろん、昨日、読んだイーガンの『宇宙消失』に似たところもあった「理解」やゴーレムやホムンクロスが登場する「七十二文字」など、粒ぞろいといっていい。
「理解」の超人同士の激突には思わず笑ってしまった(山田風太郎の忍者同士の対決を思わせる)。

ベストは「あなたの人生の物語」。
啓発されることが多く、いろいろと思索にふけってしまった。
人類のなかにも、この物語に登場する異星人のような知覚を得た者が何人かいるが、彼らの著述を見ると、ひとつの文章で複数の出来事を述べるような書き方をしている。
異星人の記述言語に近いのは、あるいは文字マンダラか。

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April 18, 2007

グレッグ・イーガン『宇宙消失』創元SF文庫

ハードボイルドタッチのハード宇宙SF

こちらは1999年の出版。
ハードボイルドタッチのハード宇宙SFといえばいいのか。
病院から失踪した患者の捜索を依頼された探偵の物語。
出だしだけ読むと、フィリップ・マーロウか、リュウ・アーチャーか、といった感じだが、読者の予想を裏切りまくる展開が待っている。

ちなみに、この世界、正体不明の球体(バブルと呼ばれる)によって、太陽系がおおわれてしまっており、(出口のない)閉塞感からか、全体にデカダンな雰囲気が漂っている。
設定だけ見ると、光瀬龍の傑作「無の障壁」にそっくり。

主人公は患者の居場所をそうそうに突き止めるが、犯人の罠にかかり・・・という展開だ。
途中で紙芝居のようになるところもあるが、まずまずの出来。
前半のハードボイルドな展開がよかった。
オウム真理教を思わせる宗教団体が登場することといい、作者のグレッグ・イーガンって日本通?


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April 17, 2007

『ラヴクラフトの遺産』創元推理文庫

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ラヴクラフトへのオマージュ

「おっ、クトゥルー神話の新作かいな」
と思って買ったところ、2000年の出版。
新作じゃないのね。
確かに創元推理文庫(創元SF文庫)の棚の前は、しばらく歩いたことがなかったが。

しかも、クトゥルー神話ものでもなかった(クトゥルー神話的なものも収録されている)。
20世紀最大の怪奇幻想小説家、ラヴクラフトに何かしらインスパイアされた作品を集めたアンソロジーだ。

読み始めてみると、結構、おもしろい。
HPL特有のおどろおどろしさがないのは残念だが、出来のいい作品も多かった。
個人的に好きなのは「霊魂の番人」「ラヴクラフト邸探訪記(齢100歳を超えたラヴクラフトに会いに行く話)」「忌まわしきもの」など。
ロバート・ブロックの「序」には泣いてしまった。

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October 07, 2006

半田元夫『キリスト教の成立』近藤出版社

殉教者の山

奥付を見ると、1970年に出版されている。古本屋で手に入れた。

イエスが処刑された後、キリスト教が発生し、幾多の殉教者を出しながら、地中海世界に広まっていった様子(ローマ帝国の公認を受けるまで)がコンパクトにまとめられている。

ユダヤ教、ユダヤ社会とのあつれき。
ローマ帝国による迫害、弾圧。
特に圧倒的な権力・武力を持った後者の弾圧は激しく、キリスト教の初期の歴史は「殉教者の記録」といっていい。
ステファノス、ヤコブに始まり、殉教者が山をなしている。

もちろん、殉教者がいたということは、それに倍する背教者(退転者)もいたわけで、背教者の論理(いいわけ)が興味深い。

たとえば、弾圧から逃れた指導者キプリアヌスは告白者(弾圧に屈せず、投獄されてもキリスト教を捨てなかった者)たちから、弾圧が終わった後、こんな言葉を投げつけられた。
「われわれは副助祭クレメンティウスから、祝福された司教キプリアヌスは隠れたこと、そして彼は優れた人物として正しく行動したことを知った」(194ページ)

強烈な皮肉だ。対して、キプリアヌスは
「いっけん卑怯とみえる自分の行動(迫害をのがれ隠れ家にひそんでいたこと)は、教会の存立のため直接神の命令に従ってなされたものである、と抗弁し信頼の回復をはかり、ついで、告白者としての力を誇る人びとを、彼らのそのような態度こそ最後の日の刑罰に値する、と激しく叱責した。このような言説の背後には、司教はキリスト教徒共同体の代表者で、神の前にのみその責任が問われる職位である、との主張があった」(210ページ)

「口は重宝なもの」と思わざるをえないが、キプリアヌス自身は次の弾圧(アウレリアヌス迫害)で進んで殉教したことで、「臆病者」の汚名を残さずに済んだ。

ローマ皇帝、キリスト教指導者はじめ、膨大な人物が登場し、ちょっと混乱してしまうが、読ませる手腕は、さすがといえる。復刊を望む。

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October 06, 2006

『新約聖書 福音書』塚本虎二訳、岩波文庫

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聖霊とは、何ぞや?

福音書(マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの4福音書)を通して読むのは何十年ぶりだろう。
相変わらず、わからないことだらけといってよい。

疑問が雲霞のごとく湧いてくるが、もっとも根本的なのは「聖霊」とは、いったい何か、ということだ。
ご存知の通り、現在のキリスト教は神、聖霊、イエスの「三位一体説」を唱える。一体だから、この3者に上下はないはずだが、福音書を読むと、次のように書かれている。

「人の子らの罪も、いかなる冒涜の言葉でも、すべて赦(ゆる)していただける。しかし聖霊を冒涜する言葉は永遠に赦されず、永遠の罪に処せられる」(マタイ一二-31)
「冒涜」では、ちょっとわかりにくいが、ギリシャ語原文は「神を汚す言葉」を意味している。あるいは

「人のいかなる罪も冒涜(※これも神を汚す言葉)も赦していただけるが、御霊の冒涜は赦されない。人の子を冒涜する者ですら赦していただけるが、聖霊を冒涜する者は、この世でも来るべき世でも赦されない」(マルコ三-28)

といった一節を読むと、神や人の子を冒涜しても赦されるが、聖霊を冒涜したら永遠に赦されないといっているわけだから、明らかに聖霊のほうが神や人の子よりランクが高い。

聖霊>神、人の子(イエス)

というわけだ。
じゃ、聖霊って、いったい何? ということになる。
神学上の難問ではあるが、インテリや坊主を相手にしていたわけではないので、イエスが抽象的なことをいったとは思えない。

庶民にも理解できるものだったはずだ。仏教で説く「法」のようなものと考えれば、すっきりするが、別段、結論は急がなくてもいいので、じっくり考えてみることにする。

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September 08, 2006

チューインガム『ゴールデン☆ベスト』

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「リルケの詩集」は、どこへ行った

「ブログを書くひまがあるなら、仕事せよ」とのお取引先の無言(一部、有言)の圧力に負けて、更新をサボっていたら、どうやって書けばいいのか忘れてしまった。

むかーし、都下(小金井)の安アパートで、無聊の日々を送っていたころ、FM東京から流れていた、チューインガムという女性デュオの「リルケの詩集」をテープに録り、それこそテープがすりきれるまで聞いていたことがあった。なんということもない詩だったが、きれいなハーモニーが印象に残った。

チューインガムについては、もう1曲「風と落葉と旅びと」を歌っていたことぐらいしか覚えておらず、そもそも当時から詳しくは知らなかった。
先日、ふと思い出して、どこかで聞けないものかと思い、ネットで検索したら、ベストアルバムが発売されているではないか。
そんなにメジャーではないと思っていたので、びっくり。さっそく購入した(ジャケットはアマゾン。5%オフになっています)。

いやー、透明感のある声で、ハーモニーも美しい。実にええわ。
松田マミちゃん(呼び捨てにできない)とりかちゃんの姉妹デュオだということ。ヤマハのポプコンで注目されたこと。デビューしたとき、12歳と10歳だったこと。デビュー曲の「風と落葉と旅びと」は、りかちゃんの作詞・作曲だったということ、などを初めて知った。

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August 25, 2006

平井和正『幻魔大戦deep』

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東丈も、ふけたなあ

過去が押し寄せるといえば、この作品もそう。
まさか『幻魔大戦』の続編が生きている間に読めるとは思わなかった(まあ、死んでしまっては読めないわけだけどね)。
もっとも印刷物ではなく、デジタルノベルだ。
もともとは携帯向けに連載されたものらしい。

携帯では、とうてい読む気は起こらないので、パソコンで読めるのはありがたいと思ったが、パソコンの画面で読むのも結構つらい。
はじめて電子書籍を読んだが、読みにくいこと、この上ないね。
中年以上には、ちょっと厳しいのではないか。
明らかに読む前より視力が減退し、しかも元に戻らない。

それは、ともかく『幻魔大戦deep』。
もちろん、80年代に一世を風靡した『幻魔大戦』『真幻魔大戦』にあった狂おしいまでの熱気は感じられないが、すいすい読ませる力は衰えていない。それなりに、おもしろく読めた。

あたりまえだが、主人公の東丈は相当に、ふけている。はっきりいえば、ぬけがらのようだ(ただし、性的には随分、奔放になっている)。
オーラもなくなっていて、どちらかといえば姪の東美恵、東美叡(パラレルスペースの東美恵)、新しいキャラの雛崎母娘のほうが元気に見える。

本題がなかなか始まらず、いらいらさせられるのは相変わらず。
複数の並行宇宙が登場するが、どの世界も『幻魔大戦』『真幻魔大戦』の世界より、幻魔襲来の危機は遠い。
もっとも、『幻魔大戦』に登場した木村一枝が登場するのは、まいった。
あの世界は滅びたはずじゃないの。
あまり意味のない、過去の否定はやめてもらいたいものだ。

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太陽系の惑星が8個に

幻の太陽系24惑星時代

うーん、そりゃないぜ。
「惑星から冥王星を除外する」との国際天文学連合(IAU)の決定を聞いて、肩を落としてしまった。
「惑星が12個に」との案を聞いたときは、胸が高鳴ったものだが、正式決定にはがっかり。
思わず「そんな大事なことを、国際天文学連合が決めていい、とだれがいったんだ」と毒づいてしまった。

確かに天文の話ではあるが、「惑星とは、こういうものだ」とか、「恒星とは、どーだ」とか、といった「定義権」をIAUが独占しているのは、なんか気に入らないなあ。
特にIAU総会の議論のなかで、「たった7人で作った定義案(※惑星を12個にする案)を、なぜ受け入れなければならないんだ」との反論があったとの報道(毎日新聞2006年8月24日)を目にして、余計、腹が立ったね。

そりゃ、こちらがいいたいよ。
IAUの会員数が何人か知らないが、「たった数千人で作った定義を、なぜ、われわれが受け入れなければならないんだ」。
もっとも、惑星が増えてたら、いちもにもなく受け入れていたが。

2003UB313だけでなく、セレスやカロンも惑星と考えるという最初の提案は、しびれたね。
自動的に、近年発見された直径がセレス(950キロ)以上のセドナやクワイワーなども惑星に昇格することになる。
惑星の候補は3個以外にも12個あると報道されていたから、太陽系24惑星時代が幕を開いたかもしれない(最終的には50惑星以上になったかも)。
残念でならない(12個の名前を知りたいな。名前がついていれば)。


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May 30, 2006

「見れる」と「見られる」

「見れる」がキモイ?

先日、ある人と話していたら、「言葉の乱れ」の問題になった。その人があげた例が「見れる」。「『見れる』と聞くと、気持ち悪い」といっていた。

小生は「可能形を『見られる』というふうに表現するほうが、よっぽど気持ちが悪い」と思うが、国語教育の成果か、この方は「見れる」を気持ちが悪い、と。
すんなり聞き流せない性格なので、思わず熱く語ってしまった。

確かに標準語では「見れる」は×だが、これは明治政府が標準語を決めたときに、東京の一角で使われていた「見られる」を採用したからで、全国的には「見れる(の方言も含めて)」のほうが圧倒的に多い、というふうな文章を本多勝一の本で読んで以来、「そうだよな」と納得している。

だいたい「見られる」じゃ、可能形か受動態か区別がつかないでしょ。
可能形を「見れる」にすればスッキリすると思うが。

とはいえ、規則は規則なので(「見れる」と書いたら、「見られる」と直されることもあって)、商売で書かなきゃいけないときは「見ることができる(できない)」と書いている。

「見られる」と書くより相当にマシだが、なんとなくシャクではある。

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May 29, 2006

ジョナサン・ストラウド『バーティミアス 3  プトレマイオスの門 』理論社

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リアルな魔法世界

待望の新作『バーティミアス 3  プトレマイオスの門 』をようやく読み終えた。 実におもしろい。個人的にはハリーなんとかシリーズより何倍かおもしろいと思うが、それは好き好きか。

魔法が支配する大英帝国を舞台に(現実のイギリスではなく、一種のパラレルスペース。まだアメリカは大英帝国の植民地のようだ)、魔法使いナサニエルと彼が使う魔物バーティミアスを主人公にした物語が展開していく。

バーティミアスは、ものすごくいい奴だが、ナサニエルのほうは権力志向が強く、第2巻では、ものすごくイヤな奴になってしまった。第3巻では情報長官に出世しており、ますます鼻持ちならなくなっている。

表面的には、なんとか安穏をたもっているが、市民たちの「魔法体制」への不満は強く、ちょっとしたことがきっかけで、暴動もしくは革命が起こるかもしれない状況だ。支配者である魔法使いたちは市民の不満に耳を傾けず、魔物の力を借りて自分たちの勢力争いに汲々としている。

ちょっと長いが、一気に読ませる筆力は相変わらず。ジョナサン・ストラウド、ただものじゃないね。訳もうまい(金原瑞人、松山美保)。ラストシーンでは、思わず涙が。

3部作としては完結したが、背景となる世界を、これだけで捨ててしまうのは、もったいない。続編でなくとも、いろいろな物語が生まれそうな世界ではある。

1巻から順に読むことをオススメ。

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May 24, 2006

「DEATH NOTE」が映画化

人気コミックを実写化

このノートに名前を書かれた人間は死ぬ。
死神が落としたノートはおそるべき「殺人兵器」だった。
ノートを手に入れた天才高校生(映画では大学生)は凶悪犯の名前を次々にノートに書き入れ、たんたんと完全犯罪を実行していく――。
『週刊少年ジャンプ』連載の人気コミックが映画化された。
しかも前編(6月上映)と後編(10月上映)の2部形式。

原作は大好きだが、正直、期待していいのか悪いのか。
アクション場面らしきものは、あまりないので、心理劇に近いものになるだろう。
監督は金子修介(期待できるかも)。うまくつくれば大傑作。
そうでなければB級映画か。

期待したい要素がもうひとつ。
主人公・夜神月(ライト)は藤原達也が演じるが、そのライバルとなるLを演じている松山ケンイチが(予告編を見る限りでは)原作そっくりなのだ。

相当、研究しているんじゃないかな。
頑張る役者がひとりでもいると、映画は締まる。
松山ケンイチ。初めて聞く名前だが(すみません)、いい役者のような気がする。

ちなみに、原作はジャンプの読者層と必ずしも一致していないせいか、結構、巻末に近い週があって、ドキドキしたものだ。
ジャンプは読者の人気が高い順に編集している(表紙に近いほうが人気が高いことになる)。巻末になると(巻末が続くと、だったかな)、連載中止になるという過酷なシステムだ。

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May 23, 2006

宮崎駿本、出版決定

近日、お目見え(とはいっても、2~3カ月先)

お知らせです。近々、小生が宮崎アニメを論じた本を出版できることになりました。このブログの『千と千尋』『ハウルの動く城』で書いた内容を取捨選択し、大幅に加筆した内容になると思います。ブログだから書けたバカ話もあるので、そういう話はカットします。

本といっても小冊子に近く、全部で100ページ程度(もっとも扱う作品を増やしていけばページ数も増えていきますが)。通常の単行本の半分程度です。
詳細が決まり次第、またお知らせします。

となると、このブログの『千と千尋』『ハウル』をどうするか。カットすると、柱が消えちゃいますね。もう1本の柱にするつもりだった『2001年宇宙の旅』は、まったく書いていないし。うーん。どうするか。

今年、年頭のライターとしての決意は新分野進出でした。いままで、趣味として手がけてきた

①古代史
②サブカルチャー(映画、アニメ)
③宗教

の3つのジャンルに、なんとか参入したいと思ったものでしたが、どうやら①と②は望みがかなえられたようです。すごい! あとは宗教だけですな。


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May 22, 2006

R・A・ラファティ『宇宙舟歌』国書刊行会

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宇宙ほら話

またまた国書刊行会。ホント、頑張ってるね。ホメロス『オデュッセイア』をモチーフにして、宇宙へ置き換えた作品。世界各地の神話とか、ファンタジー、SFなどのパロディ、一節などもぶちこみ、ラファティらしい「ほら話」に仕上がっている。

たとえば、「旅の仲間がバラバラになりはじめた(正確ではありません)」の一節は『指輪物語』、ノヴァのまぶしき光のために盲目になった詩人(これも正確ではない)の一節はサミュエル・R・ディレーニーの『ノヴァ』から。
あれ、『ノヴァ』って、いつ出たんだっけ? この作品は1968年の刊行だが、こっちのほうが早いなんてことはないよね。

この作品、『オデュッセイア』を題材にしているだけで、忠実な「再話」ではない。で、気になったのが、巻末の訳者の解説。
こんな記述がある。

「oddyseyはここから転じて冒険旅行を意味する普通名詞としても使われる。たとえば映画『二〇〇一年宇宙の旅』の原題は2001:A Space Oddyseyである。だが、宇宙の『オデュッセイア』と言えば、キューブリックではなく本作の方だ」(237ページ)

うーん、それはちゃいまっせ。
『二〇〇一年宇宙の旅』こそ、かなり忠実な『オデュッセイア』の再話です。
その証拠に、主人公のオデュッセウスはもちろん、カリュプソも出てくるし、キルケ、ナウシカ、ペネロペイア、セイレン、キュクロプロスら、『オデュッセイア』の主要メンバーも皆登場する。

話の順番も『オデュッセイア』にしたがっている。単なる宇宙の冒険旅行だから、「オデッセイ」とつけたわけではないのだ。この点は改めて。


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May 18, 2006

梅の実

ことしは、いくつ実るかな

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毎日1回、散歩のついでに、庭の梅の木をチェックしているのだが、今年は結構、梅の実がなっている。
昨年は、すべて梅酒にしてしまったが、ことしは他のことにも使えるかも。
昨年は度数の高いスピリッツと大量の氷砂糖を入れたため、ソーダか何かで薄めないと飲みにくかった(でも、おいしかった)。
今年は度数を少し下げてチャレンジしてみるつもり。

で、本題。
ついでに家の周囲を見回ったところ、下水溝の脇に、へんなものを発見した。
はじめて見る。

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あきらかに「きのこ」だが、こんな日当たりのいいところでも、はえてくるんだ。
まさか食べれはしないと思うが、撤去する前に撮影しておく。
たしかに、このところ湿っぽい天気ではあったが。

ちなみに自宅は田園地帯の一角にあるので(片田舎ということ)、自然は豊富。
おいおいご紹介します。


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May 15, 2006

今こそOASYSの復活を

「ユニバーサルデザイン」の追い風もあるよ

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機械の話のついでに。
小生のようにワープロで育った世代は当然、ワープロのほうが打ちやすい。
かつ(小生の愛用している)富士通のOASYSは「親指シフトキーボード」という特殊な仕様になっていて、通常のJISキーボードより圧倒的に打つキーの数が少なくて済む。
つまり入力スピードが鈍行と新幹線ほどにも違うのだ。

速いことの利点は山ほどあるが、もっとも強調したいのは思考のスピードに入力スピードが追いつくことのメリットだ。
小生のワープロソフト+JISキーボードでの入力は普通の方と遜色ないとおもうが、思考のスピードに入力スピードが追いつく快感を味わったことがない。

ことテキストの入力機として見れば、当然、OASYSに軍配があがる。

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May 13, 2006

機械の「心」

機械だって気持ちよく働きたい

昨年、冷蔵庫を買い替えてすぐに、洗濯機が動かなくなった。一度コンセントをはずしてつなげたり(結構、有効な方法です)、いろいろといじくったのだが、うんともすんともいわない。修理を頼んだら、どれくらい時間と費用がかかるかわからないし、買い替えを勧められるのも目に見えていた。

そこで洗濯機の上に、そっと手を置いて、話しかけてみた。

「今日まで本当にありがとう。よく頑張ってくれたね。いろいろと迷惑かけたこともあったけど、キミは文句もいわないで、懸命に働いてくれた。朝早いときも、夜遅いときも、疲れた顔もみせず、回ってくれたね。
えらかった。どんなに感謝しても感謝しきれません。相当、疲労もたまっていると思う。そろそろ、ゆっくり休みたいよね。でも、申し訳ないけど、ウチは冷蔵庫にきてもらったばかりで、洗濯機を買う余裕はないんだ。もうすこし、頑張ってくれないかな」

5分ほど話しかけたろうか、洗濯機といっしょに苦労した日々がよみがえり(?)、思わず涙声になってしまった。懸命にかきくどいたね。
その後、コンセントをつないでスイッチをオンにしたところ、見事、動き始めた。

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May 12, 2006

性転換ドキュメンタリーBlog

壮絶な愛

時間がないこともあって、個人が開設しているブログで、ほぼ毎日チェックするのは、右脇の「リンク」欄に載せているものぐらいしかない。
その他でチェックしているものといえば、これ。「性転換ドキュメンタリーBlog」。はるかりんというレッキとした男性が女性へと性転換していくプロセスを描いたブログだ。

なぜ彼が性転換しようと思ったか?
ブログから引用すると

幼馴染で同級生の彼女。
高校生から付き合って5年後……
一大決心でプロポーズ!
しかし…彼女にレズビアンである事をカミングアウトされ放心状態。
「お願い女の子になってほしぃの」
彼女の衝撃な懇願に言葉を失う。
真剣に悩み苦しみ話し合い………性転換後に結婚する事に。
肉体的、精神的にどの様な変化が現れるのか? 不安だらけの中、女性ホルモンの投与を開始…。

つまり好きな女の子にプロポーズしたら、その子がレズビアンだった。一緒になるためには彼が女の子になるしかない。
そこで、女の子になることを決断し、女性ホルモンの投与を始めた、というわけだ。
うーん、「壮絶な愛」としかいえない。

もちろん、女性ホルモン投与の影響もあって精神的には不安定な状態になる。
共通の友人たちも反対したりして、孤立無援っぽいときもあるわけだ(彼の両親は反対はしていない。「家族旅行」で、両親といっしょに家族風呂にはいったときの記述は秀逸)。
そうした心の動きも、かなり赤裸々に描写されている。
並の映画やTVドラマより、はるかにおもしろい。

エロ好きなおっさん(自分のことでもあるが)に耳寄りな話。
5月8日の日記には、はるかりんのおっぱいの写真が載っている。
女性ホルモンを投与して5カ月。こんなになるのかあ。小ぶりではあるが、もう男性の胸とはいえない。
太ももの写真も色っぽく、思わずドキドキしてしまった。

所詮、無責任な傍観者に過ぎないのだが、いろいろなことを考えさせられるから不思議だ。
はるかりん、頑張って欲しい。
ぜひ、ご一読を。


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May 07, 2006

高校時代の日記 3

愛することの苦しさ

告白した結果、紆余曲折はあったものの、なんとかおつきあいに持ち込むことができた。
ところが、相手の気持ちがよくわからないので、なにかあるたびに不安や嫉妬がこみあげてくる。
次に掲げるのは、そういう「迷いの日々」を(ストレートに表現するとカッコ悪い気がして)間接的に表現したもの。もうちょっと、うまく表現できなかったものか。


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May 05, 2006

高校時代の日記 2

言葉に飢えた飢鬼

高校時代の日記の続き。先日よりも、わかりやすいやつを。
好きな女の子に告白した日の記述だ。

某月某日
凍りついた時間の中に今、自分がいる
踏み出すその一歩はかつて踏み出したと同じ一歩
とそんな気がする

今日と昨日、昨日と明日の境界が溶けていって
昨日の道を登りつめると
得意げになって笑みをたたえた誰かと出会う
それが自分じゃない
と誰がいえよう

まるでスロットマシンのように(正確ではないが)
次々とめまぐるしく変わる言葉の行列
今、落としたその言葉が自分に向かって
唾を吐きかける
語れ! 虚偽の言葉を、と

Lie,Lie,Lie…

いつしか真実を語っていたはずの自分が
劇を演じていることに気づく
はじめから「真実」などなかったのだ、と
冷たく言い放つ自分がいる
彼の言葉は「事実」に違いない
僕と彼が演じている劇の中においては

Lie,Lie,Lie…

何故ありのままを語らないのか
自分が感じたそのままを
今、僕が一人の女の子を好きなんだ
といっても
誰も否定はせぬだろうに
そうじゃないだろうか あなた

できれば何か言葉をください
われは言葉に飢えたる飢鬼

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May 04, 2006

公立高校の逆襲

地方の公立高校に注目

『サンデー毎日』4月23日号は例によって「2000高校の主要大学合格者数」の特集。ある意味、単なる数字の羅列だが、こんなにおもしろいものはない。
ざっと眺めているだけで、いろいろなことがわかる。直感的には公立高校も低落状態をやっと抜け出し、逆襲に転じたか、という感じ。地方の公立進学校が復活しつつあるような気がする。

特に注目したのは次の3校だ。

愛知県立一宮高校
岐阜県立可児高校
岡山県立倉敷青陵高校

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May 03, 2006

高校時代の日記 1

高校時代の日記を発見

探し物をしていたら、小生の高校時代の「日記」を発見した。恥ずかしい! 「日記」といっても、月に数回しか書いていないので、どちらかといえば「月記」だが、なんといえばいいのか、具体的な記述がほとんどないので、その日に何があったか、ちっともわからない。
記録性ゼロだ。いったい、なんのために書いていたのだろうか? 自己満足なんだろうな。数十年ぶりに読んだが、実に笑える。

ちなみに手書きの日記は、つい最近まで書いていたが、このブログを初めて以来、まったく書いていない。公にできないこと(公にしても仕方のないこと)もたくさんあるので、記録しておいたほうがいいかとは思うが、ペンをとらなくなった。
書いておいて非公開にする手もある。そういえばブログを始めたころは非公開もずいぶん書いたが、最近は、さっぱりご無沙汰だ(ブログ書くのも、たまにだし)。いまや書いたものはすべて公開しています。

で、高校時代の日記の(一部)を紹介。テキストデータにしておくのも悪くないでしょ。「詩」みたいになってます。

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April 25, 2006

映画『北辰斜にさすところ』

校名は正式名を書いてね

4月16日の毎日新聞朝刊で、映画監督の神山征二郎(こうやま・せいじろう)さんが紹介されていた。次回監督作品は旧制高校を舞台にした『北辰斜にさすところ』。旧制高校は大好きなので、ぜひ観たいと思っている。映画製作の一番の難題は資金調達。この作品も1口10万円、4500人の個人メセナを募るとのことだ。

で、気になったのが、毎日の記事中にあった「旧制第七高等学校(現在の鹿児島大学)の寮歌を題名にした」の部分。うーん、旧制第七高等学校。OBは怒るね。

旧制高校のナンバースクールは一高から八高まであり、「第○高等学校」が校名だが、七番目の高校だけは「第七高等学校造士館」と、うしろに「造士館」がくっついている(「造士館」は薩摩藩の藩校の名前。薩摩閥が無理やり認めさせた)。

OBは「造士館」を飛ばされると烈火のごとく怒るので、ここは間違えて欲しくなかったなあ。短縮するときは「七高造士館」。いまや新聞社にも旧制高校OBはいないだろうから、仕方がないのかもしれない。

ちなみに細かい話を続けると、寮歌の正式なタイトルは「北辰斜に」であって、「北辰斜にさすところ」ではない。前述の文章は正確には「旧制第七高等学校造士館の寮歌の冒頭の部分を題名にした」になる。

旧制高校の寮歌は一高の「嗚呼玉杯に」、三高の「紅萌ゆる」(もっとも、これは「逍遥の歌」だが)、大阪高校の「嗚呼黎明は近づけり」など名曲が多い。個人的には勇壮な歌は苦手なので、四高の「北の都に秋たけて」などが気に入っている。

ともあれ、こういう校名は大好きなので、国立大学法人になった鹿児島大学も「鹿児島大学造士館」に変更してはどうかと思うが、いかがだろうか(女子学生が来なくなる?)。


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April 24, 2006

追悼 スタニスワフ・レム

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巨星墜つ

3月27日、ポーランドのSF作家、スタニスワフ・レムが逝去した。享年84歳。
タルコフスキーとソダーバーグがメガホンをとった『ソラリス』(タイトルとしては早川書房版の『ソラリスの陽のもとに』のほうが好きだが)で有名だ。
「巨星墜つ」の印象が強い。
SFという枠にはおさまりきらない、とほうもないスケールの作家だった。このところ、SFからは離れていたとはいえ、残念でならない。

『ソラリス』のほか、『エデン』『砂漠の惑星』『金星応答なし』『星からの帰還』などの長編、泰平ヨンのシリーズ、ロボット宙航士シリーズ、『虚数』や『完全な真空』などの実験作、いずれも捨てがたい。
ただし、レムの作品はとっつきにくい。最初はガマンが必要だ。
途中まで読み進めると、猛烈におもしろくなる。

レムを読んだことがない人にはロボットシリーズをオススメしたい。コミカルな「宇宙ほら話」で、雰囲気はイタロ・カルヴィーノの『柔らかい月』に似ている(カルヴィーノのほうが知られていないかな?)。

写真は国書刊行会(頑張ってるね!)の『天の声・枯草熱』の表紙。かつてサンリオ文庫で刊行された2冊を復刊したものだ。『天の声』は地球外信号を探知したことから物語が始まるが、ファースト・コンタクトもののようには進展していかない。どちらかといえば、政治小説のように進んでいく。「枯草熱」とは「花粉症」のこと。こちらは一種のミステリだ。

かつての『SFマガジン』の長編連載は小松左京『果しなき流れの果に』、レム『ソラリス』、光瀬龍『百億の昼と千億の夜』と続いた(小生は、そのころは読んでいない)。
傑作ぞろいで、当時のSFファンの「狂喜」が伝わってきそうなラインアップだ。

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April 11, 2006

シオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX 』(大久保 譲訳)国書刊行会

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後半に意外な展開とどんでん返し

ひさしぶりにスタージョンを読んだ。サンリオ文庫の『スタージョンは生きている(時間のかかる彫刻)』以来か。アマゾンのレビューを引用すると

チャーリー・ジョンズが目を覚ましたのは、謎の世界「レダム」。銀色の空に覆われ、荒唐無稽な建物がそびえ立ち、奇天烈な服を着た「男でもなく女でもない」住人が闊歩(かっぽ)している世界だった。ここは異星か、はるかな未来か。タイムマシンのような機械もある。故郷に戻りたがるチャーリーに、レダム人たちが持ち出した交換条件は「あなたの目で私たちの文明を評価して下さい」。彼は承諾し、レダムの世界を見て歩くことになる。

おもしろくもないユートピア小説のようなすべりだしで、「こりゃ、はずれか」と思ったね。『人間以上』『夢見る宝石』のサーカス/見世物小屋/フリークショー的な「わい雑さ」はないし、『きみの血を』のような官能性もない。訳の問題かもしれないが、スタージョンのむせかえるような特異な文体も感じられなかった。

やっぱり、長い間、未訳だっただけのことはある、と思いつつ読み進めたが、後半の意外な展開とどんでん返しで、やっと見直した。読んでも損にはならない。

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March 20, 2006

別冊宝島『裏日本史「暗殺」伝』

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代表的な暗殺事件を網羅

小生の最新刊。日本史の裏面を「暗殺」された側から探ったもの。代表的な暗殺・反逆事件を紹介した。
古代から近代までを取り上げているが、小生が担当したのは古代~平安時代中期。全体の3分の1ぐらいか(3人の共著だからね)。下記の人物を執筆した。

3世紀頃 タギシミミ暗殺
4世紀頃 クマソタケル暗殺
5世紀   墨江中王刺殺
5世紀頃 第20代安康天皇暗殺
628年 山背大兄王ほか暗殺
645年 蘇我蝦夷・入鹿暗殺
672年 壬申の乱
729年 長屋王の変
785年 藤原種継暗殺事件 ほか

書いてて思ったのだが、古代から中世にかけては、ともかく殺さなければ殺されてしまうかもしれない時代だ。権謀術数と暴力が渦巻いている。

目端の利く人間や野心的な人間は当然、先に殺す。
そうでなければ権力をつかめないし、維持もできない。
殺人を肯定するわけではないが、古代~中世史が暗殺、謀殺だらけなのも、やむをえないかもしれない。

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March 18, 2006

観世音経

観世音経は法華経の一部

3月10日の毎日新聞朝刊に「観世音経679年に存在」との見出しで、奈良・明日香村の石神遺跡から、「観世音経」の文字が入った木簡が発見されたとの記事が載っていた。

「686年に天武天皇の病気平癒を願って説かせたという記述をさかのぼり、観世音経の存在を示す日本最古の文字資料になるという」と。

これは、おそらく記者の勘違いだろう。
観世音経(観音経)の存在は、もっとさかのぼれる。「観世音経」と呼ばれているが、実は法華経の第25章、観世音菩薩普門品を独立させたものだ。
観世音(観音)のさまざまな功力を述べていることから、現世利益を求める心情とマッチし(わかりやすいこともあって)、「観世音経」として独立して尊崇されるようになった。


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