フリッツ・ライバー『闇よ、つどえ!』風見潤訳、ハヤカワ文庫

デモーニッシュな魅力が横溢

1943年の作品だが、さすがライバー、まったく古びていないどころか、むしろ今風。
デモーニッシュな魅力が横溢している。

ローマ・カソリックを思わせる「聖職位階制政権」に支配された未来。
僧侶は隠された科学技術を使って民衆を支配し、庶民は厳しいカースト制度に苦しめられている。

政権転覆をねらって暗躍する組織はサタナスに率いられているから、明らかに悪魔だが、どちらかといえば「善」は、こちらのほうにある。
政権側が「悪」。

政権に反旗を翻した修練士のスピーチが小気味いい。
ルターやカルヴィンを思わせる(神を否定しているところなど、ルターやカルヴィン以上か。神といってもニセの神だけどね)。

「僧侶は、巨神につかえ、その命令を伝えるために選ばれた人間だ、ときみたちは信じている。しかし、神がどこかにいるものなら、無垢な心をもったきみたちひとりひとりこそ、神のことがわかるはずだ。偉い大僧正以上によくわかるはずだ。巨神さまが宇宙を--天と地を支配しているのだ、ときみたちは信じている。はっきり言おう--巨神などはまやかしだ!」(16ページ)

邦訳されたものをすべて読んだわけではないが、知名度の割に翻訳作品は少ないような。
未訳のなかではターザンものの贋作(オマージュかな?)『ターザンと黄金の谷』を読んでみたいが。

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December 01, 2008

アイザック・アシモフ『小悪魔アザゼル18の物語』小梨直、新潮文庫

小悪魔アザゼルはドラえもんだった?!

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手近の「悪魔事典」を見たら、しっかり「アゼザル」の名前もあったので、どうやら実在(といっていいかどうか)の悪魔らしい。
もっとも、身長2センチのチビ悪魔にしたのはアシモフのアイデアだろう。

人のよいジョージの要望を聞いて、アゼザルがいろいろな機械・装置を出して、ジョージの友人・知人を助けようとするが、主にジョージとアゼザルのコミュニケーション不足のため、ロクでもない結果に終わる、というストーリー。
どこかで見たような話だと思ったら、これはドラえもんだね。

ジョージとアゼザルの関係がのび太とドラえもんの関係。
そう思って読み進めていったら、いつのまにかアゼザルのセリフがドラえもんの声で聞こえてきた(もちろん、小生の場合、大山のぶ代)。
ひょっとしたら、訳者も、ドラえもんのセリフっぽく訳しているのかもしれない。

アシモフの作品だから、安心して読める。
「黒後家蜘蛛」や「ユニオン・クラブ」のように話者が多くないから(登場するのはジョージと、彼の話を聞く作者だけ。アゼザルは存在せず、単にジョージのほら話かもしれない、と解釈することも可能)、すっきりしていて読みやすい。

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November 30, 2008

小室直樹『硫黄島栗林忠道大将の教訓』WAC

国家の危機でも、年功序列を優先

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読み始めて、小室らしくない文体に首をひねったが、聞き書きだった。
内容的には小室直樹が充満。
好きな人には、こたえられないし、嫌いな人には、ついていけない(というより、読まんだろうな)。

例の硫黄島映画に便乗しての出版だろうが、小室なりの切り口が楽しめる。
陸(軍)にも海(軍)の山口多聞に匹敵する人材がいたのね。

「山口多聞少将と栗林忠道中将の共通点は、これまでの仕来りや戦術を根本から考え直す能力を持っていたことであった。これは言うは易く行なうは難し。特に軍人にとっては非常に困難だ」(156ページ)

もっとも、その最優秀の人材を、玉砕するしかない戦場(硫黄島)に送り込むようでは先はない。
(戦争前半に)もうちょっと武器と権限を与えて、勝つチャンスのある局面に投入したかった。

注目すべきは硫黄島の戦いでは日本軍の総司令部が玉砕した後もなお兵士たちがゲリラ戦を戦ったことだ。
おどろくべき忠誠心といってよい。
栗林のリーダーシップが伺えるではないか。

旧軍首脳のアホさ加減は、いまさらいうまでもないが、年功序列にこだわった「人事」が、その典型だ。
小室のいう通り、山口や栗林、南雲らの使い方は明らかに間違っていた。対して

「アメリカは違っていた。日本にパールハーバーを奇襲された責任を取って、米太平洋艦隊司令長官キンメル提督を罷免し、その後任に選ばれたのがニミッツだった。ニミッツというのは潜水艦屋であって、しかもまだ少将の身分であった。海軍省の航海局長(日本の軍務局長)だった。しかしルーズベルトはこいつこそ、と思ったら二階級特進させて大将にし、先輩二十八人を飛び越して太平洋艦隊司令長官に据える。この適材適所の人事はルーズベルトの一存によって決められたが、それでも誰も文句を言わない。国家の存亡と国民の命がかかっている時に、年功序列とは唯唯(ただただ)呆れてしまうが、では我々は呆れてばかりいられるのか」(158ページ)

歴史に学ばない日本。
いままた、その「愚」を繰り返しつつある。


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November 29, 2008

大塚久雄『国民経済』講談社学術文庫

貿易立国・日本の行方を示唆

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大塚久雄のいう「国民経済」とは、ある国全体の経済システムを指すのかと思いきや、自立型(内需主導型)の経済システムを整えた国(の経済)を指す言葉だった。

例によって、内需主導型のイギリスと貿易立国型のオランダを対比し、イギリスの台頭とオランダの没落の背後に「国民経済」の有無を置いている。

米国の独立を可能にしたのも、国民経済が形成されていたことにあった。
「北アメリカ植民地はこうした典型的な『国民経済』を作りあげつつあったがゆえに、『その工業を母国に対する全くの隷属状態におき、家内工業やありふれた手工業者を除けば、いかなる種類の工場の設立も許さない』(リスト)重商主義政策によって、こうした組み立てを歪め、あるいは崩そうとするイギリスに抵抗して、政治的独立を要求せざるをえなくなったばかりでなく、こうした『ほとんどあらゆるものを質、量ともに十分生産し』うるような生産の多角化と自給自足性によって、政治的独立を達成しえたのであり、さらにまた、建国後は政治的独立を維持するために、そうした組み立ての強化を押しすすめたといわねばならない」(136ページ)

確かに北米植民地が貿易依存型だったら、独立は難しかっただろう。
国民経済の成立と政治的独立はリンクしているわけだ。

じゃあ、貿易立国・日本はどうなの、ということになる。

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November 15, 2008

J・G・バラード『終着の浜辺』伊藤哲訳、創元SF文庫

表題作のたゆたうような時間が心地いい

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バラードを読むのは久しぶり。
この本も『時間の墓標』と題されていた旧版で読んだ記憶があるが、最近、ひとやまいくらで手に入れた本のなかにあったので、目を通した。
相変わらずおもしろい。

バラードの短編集の特徴は駄作がないこと。
本書でも、ややステロタイプな「識閾下の人間像」やラヴクラフト風の「ある日の午後、突然に」を含めて、大いに楽しめた。
ベスト3は「ゴダード氏最後の世界」「ヴィーナスの狩人」、表題作の「終着の浜辺」。

ユング風の「ヴィーナスの狩人」は三島由紀夫の怪作『美しい星』を思わせる。
もうちょっと書き足して長編にしてもらいたかった。

「終着の浜辺」は後に書くコンデンスド・ノベル(凝縮小説)の先駆的な作品だが、この作品は、ほとんど時間の経過順に書かれていて、わかりやすい。
もうひとひねりして、死者であるヤスダ博士との対話だけで構成する手もあったような。
最後のシーンで公共広告機構の有名なコマーシャル(砂浜で寄り添う2人の影)を思い出した。

登場したときはニューウエーブの旗手のような扱いだったが、読み返してみると、意外に古典的なのね(半世紀も経っているのだから当然か)。

復刊フェアの1冊として、復活したようだが、その他の創元で出版された短編集『時間都市』『時の声』『溺れた巨人』『永遠へのパスポート』といったところも傑作ぞろい。
ぜひ注目を!

『ハイライズ』『クラッシュ』以降の作品には、どうも興味を持てなかったが、読んでみるか。

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November 05, 2008

大塚久雄『歴史と現代』朝日新聞社

理念(思想)が方向指示器として大きな役割

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表題作の「歴史と現代」はじめ、「わが道」「国民経済の精神的基盤」「アジアから見た文化比較の基準」の4つの論考を収録した本。
3分の2を占める「歴史と現代」は、もともとは朝日新聞に連載されたもので、語り口も平易。「大塚史学」の入門書としてもってこいだ。

16世紀からヨーロッパ(ひいては世界)の覇権はスペイン→オランダ→イギリスと移り変わるが、各国の興隆の背景となった経済の様相と、それを担った主立った「階層」を考察したもの。

オランダが原材料を輸入し、加工したうえで各地に輸出する「貿易立国」であったのに対し(「国際的中継貿易のシステムを土台とし、産業さえもそれに依存する加工貿易工業という姿をとっていた」)、イギリスが自立した複数の経済圏を国内に持つ「内需主導型」の経済だった(「なによりもまず奥深い国内市場を持ち、外国貿易はその余剰を輸出するという形で展開」)とするなど、なかなかおもしろい。

当時のオランダと同様、貿易主導型の日本経済にとって、17~18世紀のヨーロッパ経済の動きから学ぶべきことは、たくさんあるのではないか。

(写真は、わが家の庭に咲いていた薔薇)

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October 29, 2008

大塚久雄『宗教改革と近代社会 四訂版』みすず書房、絶版

プロテスタンティズムが「資本主義の精神」の産婆役を

プロテスタンティズムと「資本主義の精神」の関係を時代背景も含めて明らかにした本。
もちろん、大塚が訳したマックス・ウエーバーの『プロテスタンティズムと資本主義の精神』(岩波文庫)によっている。

一応、大学時代は社会学を学んだので、当然、大塚久雄の名は知っていた(呼び捨てにするのは、おそれおおいが)。
というより、政治学の丸山真男と並ぶ東大の名物教授で、一時代を画した超ビッグネームだ。
ところが、小生が読んだのは『社会科学の方法』など岩波新書から出ている2冊のみ。
決して勤勉な学生とはいえなかった。

いまになって、ふと「大塚史学」を勉強したくなったので、古書も含めて数冊購入。その1冊目がこれだ。
(専門的な論文ではなく)啓蒙的な著作なので、読みやすい(特にヤスパースの『哲学入門』を読んだ後では)。

誤解されがちだが、ウエーバーはプロテスタンティズムが、そのまま資本主義の精神へと進化・発展していったとしているわけではない。

「プロテスタンティズムは、かつて『資本主義の精神』の誕生に際して産婆として『その揺籃を見守った』に過ぎないというのである。詳しく言えば、プロテスタンティズムに特有なある倫理的要素は、『資本主義の精神』に対して特殊な親和力をもっていたがためにこの誕生を決定的に促進したのではあるが、しかしその誕生の後には、プロテスタンティズムの此の倫理的果実だけが、その根であったプロテスタンティズムの信仰から離れ去って、富中心的な『資本主義の精神』の構成要素と化し去るに至ったというのである」(17ページ)

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October 23, 2008

カール・ヤスパース『哲学入門』新潮文庫、おそらく絶版

知的に謙虚であれ

20世紀最高の哲学者のひとり、カール・ヤスパースの哲学入門書。
ヤスパースの作品は初めて読む。
もともとがラジオ放送のために準備されたものとあって、かなりやさしく書かれているはずなのだが、さっぱり理解できないのが情けない。
8割方は意味不明。
ただ、理解力不足はもちろんだが、この手の翻訳作品は訳に問題がある可能性もある。
少なくても、訳がこなれていないことは確かだ。

入門書としての体裁を整えるため、付録として哲学の概観を紹介してるのだが、ヤスパースが東洋哲学を軽視していることに、ちょっと驚いた。
「私共が東洋の哲学について理解している事柄は、それがなくても私共自身の哲学からして知っているようなものであるにすぎないというのは、言い過ぎでありますが、しかし大概の解説は非常に西洋的範疇を使用しているので、東洋語を知らない者にとっても、誤謬が感知できるということはもっともであります」(210ページ)
そりゃ、いいすぎだと思うよ。
龍樹や天台を読んでから、いってほしかったな(翻訳されていなかった?)。
もっとも、この文章も何をいいたいのか、正確には、よくわからないが(東洋哲学はレベルが低く、マチガイが多い、といってると判断)。

東洋哲学への軽視は別の個所の次のような言葉と矛盾しているんじゃないのかな。

「一切のものを概観しようと思う者はもはや哲学しない者であります。科学的精通によって得た知識をもって存在そのものと存在全体の認識だと見做す者は科学的迷信に捉われた者です。もはや驚きを感じない者はもはや問わない。もはや秘密のあることを知らない者はもはや探求しません。『哲学すること』は知的可能性の限界における徹底的に謙虚な態度をもって、知の限界において知られないものとして現われるものに対して心が全く開かれていることを知っています」(156ページ)

ここも、ちとわかりにくいが、ソクラテスの「無知の知」にも通じる言葉。「オレはなんでも知ってる」と思ってはいかんよ、と諫めているわけだ。
最後の文章の主語はなんだろうね。
「哲学すること」=「知的可能性の限界における徹底的に謙虚な態度をもって、知の限界において知られないものとして現われるものに対して心が全く開かれていること」だろうから、「知っています」に対応する主語が見あたらないが。

「自分が知っていることがすべてだと思ってはいけない」という言葉と東洋哲学に対して述べた「私共自身の哲学からして知っているようなものであるにすぎない」という言葉は一貫していない。
知的に謙虚であれ、とヤスパース本人にいいたいよ。
氷山の一角を見て、氷山の全体と思って欲しくなかった。


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October 21, 2008

小松左京『(続)妄想ニッポン紀行』講談社文庫、絶版

東京オリンピックで日本の風景は激変

前作の『妄想ニッポン紀行』を読んだのは、はるか昔だったが、(古書を探していたものの、なかなか見つからず)最近ようやくアマゾンで手に入れた。

文庫本の初版は昭和49年だが、単行本の『日本イメージ紀行』と『日本タイムトラベル』をあわせたもので、いずれも昭和40年代前半に出版されている。

前作は紀行といいながら、「過去改造計画」など、かなりのフィクション部分を含んでいたが、この作品は余りフィクションをまじえず(どこまでホントか、わからんところはあるが)、全国各地の過去、現在、未来を例によって多角的に紹介している。

一番おもしろかったのは昭和30年代を対象とした前作が全編通じて、ほこりっぽかったのに対し(なにしろ国道といっても舗装されていないところが多かった)、この作品では国道は舗装され、ほこりっぽさがなくなっていたことだ。
日本の交通インフラ事情は昭和39年の東京オリンピックを境に一変したことがわかる。

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October 15, 2008

フリッツ・ライバー『妖魔と二剣士』『ランクマーの二剣士』浅倉久志訳、創元推理文庫

異色の登山小説「星々の船」を収録

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いつのまにか完結していたのね。
ヒロイック・ファンタジーの傑作、2人組を主人公とするファファード&グレイ・マウザーシリーズの4作目と5作目。
3作目まで読んで、なかなか続編が出ないので、これっきりかと思っていたら、出版されていたので、望外の喜び。

入院中に読んだが、ライバー(浅倉訳)はやはり読みやすい。
同じく読みやすかったが、高熱と痛み止めでふらふらのときに読んだラヴクラフトは最悪。
病室に見たくないものが見えてきて、オレも「幻視者」の仲間入りか、と思わず背筋が寒くなった(熱が引くと、見えなくなった)。

オススメは『妖魔と二剣士』に収録された中編「星々の船」。
ファファード&グレイ・マウザーシリーズの最高傑作ではないか。
この手の話には珍しく、ネーウォン世界の最高峰に登る話だが、登山シーンがすばらしい。
臨場感たっぷりで、手に汗握る。
ところどころヒロイックファンタジーらしい妖異も登場するが、「余計かなあ」と思えるほど。
2人についてくる雪猫もかわいい。

ライバーの猫好きは『ランクマーの二剣士』でも明らか。
読み終えてみると、第1巻に収録された「凶運の都ランクマー」が布石になっていたのかも、と思えないこともない。

5巻のあとがきを読むと、ファファード&グレイ・マウザーシリーズは、あと2冊あるよう。
出版を望む!
ライバーでは、むかしサンリオで出た『ビッグタイム』の新訳発行もお願いしたい(早川さんか、創元さん、お願いします。必ず新訳で)。


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October 13, 2008

山田雅弘『少子社会日本』岩波新書

少子化の要因は収入の不安定化と
パラサイトシングル

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著者は比較的、楽観的だが、読むほうは(日本の未来に)絶望的になりかねない著作。
日本の少子化の原因を
1 若年男性の収入の不安定化 と
2 パラサイトシングル現象
の2つに求めているところが新しい。どちらか片方だけでは少子化は起こらない。2つセットになって、初めて少子化が進む。

少子化の結果として
1 日本の総人口が減少に転じた
少子化の直接の要因として
2 合計特殊出生率の最低値更新
3 未婚率の増大
4 夫婦出生率の低下
を指摘する。

3の未婚率を例にとると、30~34歳の未婚率は男性47.1%、女性32.0%。適齢期の男性の半分が結婚していないわけだ。
日本の場合、籍を入れないで、子どもを生むことは少ないので、結婚しない独身者が増えることは、ダイレクトに少子化につながる。
その主たる要因となっているのが「若年男性の収入の不安定化」と「パラサイトシングル現象」というのだ。


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October 08, 2008

H・P・ラヴクラフト『ラヴクラフト全集 別巻 下』創元推理文庫

意外に濃厚、ラヴクラフト味

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これにて創元推理文庫版『ラヴクラフト全集』は完結。
別巻はラヴクラフトが代作、補作、添削した作品を集めたもの。
代作はともかく、補作、添削ではラヴクラフトの味は薄いかと思いきや、意外に濃厚。
他人の作品なのに、クトゥルー神話の小道具は、ふんだんに使っているし。

俵万智が短歌の添削をして、たった5文字変えただけなのに、すっかり俵ワールドになるようなものか。
小生のベスト3は20万年前のミイラの謎を描いた「永劫より」、金星人のつくった迷路にとりこまれた男の話「エリュクスの壁のなかで」、描写力に舌を巻いた「夜の海」。

ほとんどラヴクラフトの作品といってよい「永劫より」は作者自身による2次創作のようなもので、どことなくユーモラス。
ラヴクラフトが創造した悩める冒険者、ランドルフ・カーターも友情出演のようなかたちで、ちらっと登場する。

「夜の海」は相当、ラヴクラフトの手が入っていると思ったら、解説には1割程度、と。
かなりの才能を感じるだけに、作者のR・H・バーロウが文学の道に進まなかったのは残念。
海に潜む「怪」が主題になっている点、『崖の上のポニョ』(まだ観ていないが)に、ちょっと似ているような気も(あくまで気がするだけ)。


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July 24, 2007

宮崎吾朗監督『ゲド戦記』

原作とは別のアースシー世界

才能は遺伝しないのね、とつくづくと思い知らされた作品。
なにを書いても批判になるので、ぐっとこらえていたが、辛抱たまらんわ。

原作(アーシュラ・K・ル=グイン)を再編するならするで、やりようもあるでしょ、という感じ。
メーンのストーリーは『ゲド戦記』第3作の『さいはての島へ』。
そこへ第1作の『影との戦い』、第4作の『帰還』を組み合わせ、オリジナルジュースを加え、かき混ぜたら、マズくて飲めないミックスジュースになってしまった。

魔法使いは登場するものの、ヒロイックファンタジーのようなチャンチャンバラバラはなく、比較的静かに進行していく作品なので、気の毒な面はある。
ただ、原作の世界観、象徴、隠喩を少しも意に介さない、やり方では原作者の怒りを買うのも、あたりまえ。
第3作を忠実に映画化すれば、それなりの作品になっていただろうに。
残念。

もっとも不可解なのは冒頭のシーンでアレンが父王を殺すこと(原作にはない)。
なんで?
殺してもいいが、その場合、「殺す理由」をきちんと描いてくれないと。
ただ、二重人格だから、では、だれも納得できんでしょ。

ゲドとアレンがテナーの家を訪ねた際、テナーがゲドを見て、(アレンという見知らぬ人間がいるのに)「ゲド」と本名で呼ぶのにも驚愕。
もちろん、「ハイタカ」でしょ。
アースシーでは本名を知られることは致命的。めったやたらに本名はださんよ。
もうちょっと原作を読んでほしかった。

原作を素材としてしか利用しないのも、ひとつのやり方ではあるけど、10年、早いわ。

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泉鏡花『夜叉ケ池 天守物語』岩波文庫

予想を裏切る、心地よい展開

鴎外の『青年』が忘れられた作品なのに対して、鏡花のこの2作は、まったく色あせていない。
しかも超現実的な話なのに、『青年』より、はるかに登場人物に共感できるのが不思議。

題材は日本的だが、日本的な矮小性を突き抜けた感もあり。
たとえば、「夜叉ケ池」では神の行動を契約で縛っている。
神との契約って、日本の伝統にあったっけ?
きわめて一神教的な考え方のような気がするが。

「天守物語」では簡単に主君を裏切る家臣が登場するなど、意外性も十分。
2作のうちでは予定調和的に進行していく(結末が見えている)「夜叉ケ池」より、読者の予想をはるかに超えた、ハチャメチャな展開を見せる「天守物語」のほうを買う。
鏡花の最高傑作かも。


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May 17, 2007

アリステア・マクリーン『女王陛下のユリシーズ号』ハヤカワ文庫

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随一の冒険小説作家の超弩級の処女作

病院の検査と検査の間隔は死ぬほど長い。
退屈な時間を過ごすのに小説が欠かせないが、持ってくる本を間違えたかな、と思った作品。
暗いし、寒いし、バタバタと死んでいくし。

アリステア・マクリーンの処女作だが、いちばん、おもろいんじゃないの(『ナヴァロンの要塞』ほか数冊しか読んでいないけど)。
タイトル(ユリシーズ=オデュッセウス)からすると、最後が予測できるが、その人がだれか明らかになるのは493ページ中の440ページ目くらい。

第二次大戦中、ソ連へ向かう輸送船団護衛を命じられた英国巡洋艦ユリシーズ号の壮絶な戦い(ひとつは北海の気候と、もうひとつはドイツ海軍と)を描いたもの。
意外に『オデユッセイア』を踏襲していて、キュクロプロスやスキュレ級の怪物が次から次へと襲いかかってくる。

乗組員(艦長から水兵、船医にいたるまで)がかっこいい。
艦長と船医の会話。

「ブルックスがいいそえた。『三十分眠っては?』
『眠る?』ヴァレリーは、心底おかしがっているように見えた。『もうすぐ好きなだけ眠れるじゃないか』
『それもそうですね』ブルックスも同じた。『いや、そのとおりでしょう』」

そういう話だ。

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April 20, 2007

森鴎外『青年』新潮文庫

軽妙をねらって、軽薄に堕した?

「『なんとなくクリスタル』かいな」と思えるような作品だった。
数ページごとにフランス語の単語が原語で出てくるのだが、いかにも作品を軽くしている。
奇をてらってるの?

なんのために入れているのか、まったく不明。
本人や夏目漱石を思わせる人物も登場するので、一種のユーモア小説をねらったのかな。
それにしては主人公は、もんもんとしているし(しかも、まったく共感をおぼえない、もんもん)。
軽妙をねらって、軽薄に堕してしまったとしか思えんが。

もっとも冒頭の1行で「きゃはは」と笑ってしまったのは確か(作家が意図したわけではないが)。
だれが読んでも、(1行目だけは)笑えるのではないか。
これが「舞姫」を書いた作家の作品かと思うと拍子抜け。大事なことを見逃してるのかな?

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April 19, 2007

テッド・チャン『あなたの人生の物語』ハヤカワ文庫

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短編SFのオールタイムベストに入る秀作

これはお買い得かもしれない。
中国系アメリカ人作家によるSF短編集。邦訳は2003年の出版だ。

収録されている8編のうち、なんと3編がネビュラ賞の受賞作(ネビュラ賞はプロ作家によって、ヒューゴー賞はファン投票で選ばれる。ちなみに3編のうちの1編はヒューゴー賞も受賞している)。

表題の「あなたの人生の物語」、異世界でのバベルの塔の建設物語「バビロンの塔」、やはり異世界もので、破壊的な天使が登場する「地獄とは神の不在なり」の受賞作3編はもちろん、昨日、読んだイーガンの『宇宙消失』に似たところもあった「理解」やゴーレムやホムンクロスが登場する「七十二文字」など、粒ぞろいといっていい。
「理解」の超人同士の激突には思わず笑ってしまった(山田風太郎の忍者同士の対決を思わせる)。

ベストは「あなたの人生の物語」。
啓発されることが多く、いろいろと思索にふけってしまった。
人類のなかにも、この物語に登場する異星人のような知覚を得た者が何人かいるが、彼らの著述を見ると、ひとつの文章で複数の出来事を述べるような書き方をしている。
異星人の記述言語に近いのは、あるいは文字マンダラか。

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April 18, 2007

グレッグ・イーガン『宇宙消失』創元SF文庫

ハードボイルドタッチのハード宇宙SF

こちらは1999年の出版。
ハードボイルドタッチのハード宇宙SFといえばいいのか。
病院から失踪した患者の捜索を依頼された探偵の物語。
出だしだけ読むと、フィリップ・マーロウか、リュウ・アーチャーか、といった感じだが、読者の予想を裏切りまくる展開が待っている。

ちなみに、この世界、正体不明の球体(バブルと呼ばれる)によって、太陽系がおおわれてしまっており、(出口のない)閉塞感からか、全体にデカダンな雰囲気が漂っている。
設定だけ見ると、光瀬龍の傑作「無の障壁」にそっくり。

主人公は患者の居場所をそうそうに突き止めるが、犯人の罠にかかり・・・という展開だ。
途中で紙芝居のようになるところもあるが、まずまずの出来。
前半のハードボイルドな展開がよかった。
オウム真理教を思わせる宗教団体が登場することといい、作者のグレッグ・イーガンって日本通?


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April 17, 2007

『ラヴクラフトの遺産』創元推理文庫

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ラヴクラフトへのオマージュ

「おっ、クトゥルー神話の新作かいな」
と思って買ったところ、2000年の出版。
新作じゃないのね。
確かに創元推理文庫(創元SF文庫)の棚の前は、しばらく歩いたことがなかったが。

しかも、クトゥルー神話ものでもなかった(クトゥルー神話的なものも収録されている)。
20世紀最大の怪奇幻想小説家、ラヴクラフトに何かしらインスパイアされた作品を集めたアンソロジーだ。

読み始めてみると、結構、おもしろい。
HPL特有のおどろおどろしさがないのは残念だが、出来のいい作品も多かった。
個人的に好きなのは「霊魂の番人」「ラヴクラフト邸探訪記(齢100歳を超えたラヴクラフトに会いに行く話)」「忌まわしきもの」など。
ロバート・ブロックの「序」には泣いてしまった。

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October 07, 2006

半田元夫『キリスト教の成立』近藤出版社

殉教者の山

奥付を見ると、1970年に出版されている。古本屋で手に入れた。

イエスが処刑された後、キリスト教が発生し、幾多の殉教者を出しながら、地中海世界に広まっていった様子(ローマ帝国の公認を受けるまで)がコンパクトにまとめられている。

ユダヤ教、ユダヤ社会とのあつれき。
ローマ帝国による迫害、弾圧。
特に圧倒的な権力・武力を持った後者の弾圧は激しく、キリスト教の初期の歴史は「殉教者の記録」といっていい。
ステファノス、ヤコブに始まり、殉教者が山をなしている。

もちろん、殉教者がいたということは、それに倍する背教者(退転者)もいたわけで、背教者の論理(いいわけ)が興味深い。

たとえば、弾圧から逃れた指導者キプリアヌスは告白者(弾圧に屈せず、投獄されてもキリスト教を捨てなかった者)たちから、弾圧が終わった後、こんな言葉を投げつけられた。
「われわれは副助祭クレメンティウスから、祝福された司教キプリアヌスは隠れたこと、そして彼は優れた人物として正しく行動したことを知った」(194ページ)

強烈な皮肉だ。対して、キプリアヌスは
「いっけん卑怯とみえる自分の行動(迫害をのがれ隠れ家にひそんでいたこと)は、教会の存立のため直接神の命令に従ってなされたものである、と抗弁し信頼の回復をはかり、ついで、告白者としての力を誇る人びとを、彼らのそのような態度こそ最後の日の刑罰に値する、と激しく叱責した。このような言説の背後には、司教はキリスト教徒共同体の代表者で、神の前にのみその責任が問われる職位である、との主張があった」(210ページ)

「口は重宝なもの」と思わざるをえないが、キプリアヌス自身は次の弾圧(アウレリアヌス迫害)で進んで殉教したことで、「臆病者」の汚名を残さずに済んだ。

ローマ皇帝、キリスト教指導者はじめ、膨大な人物が登場し、ちょっと混乱してしまうが、読ませる手腕は、さすがといえる。復刊を望む。

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October 06, 2006

『新約聖書 福音書』塚本虎二訳、岩波文庫

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聖霊とは、何ぞや?

福音書(マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの4福音書)を通して読むのは何十年ぶりだろう。
相変わらず、わからないことだらけといってよい。

疑問が雲霞のごとく湧いてくるが、もっとも根本的なのは「聖霊」とは、いったい何か、ということだ。
ご存知の通り、現在のキリスト教は神、聖霊、イエスの「三位一体説」を唱える。一体だから、この3者に上下はないはずだが、福音書を読むと、次のように書かれている。

「人の子らの罪も、いかなる冒涜の言葉でも、すべて赦(ゆる)していただける。しかし聖霊を冒涜する言葉は永遠に赦されず、永遠の罪に処せられる」(マタイ一二-31)
「冒涜」では、ちょっとわかりにくいが、ギリシャ語原文は「神を汚す言葉」を意味している。あるいは

「人のいかなる罪も冒涜(※これも神を汚す言葉)も赦していただけるが、御霊の冒涜は赦されない。人の子を冒涜する者ですら赦していただけるが、聖霊を冒涜する者は、この世でも来るべき世でも赦されない」(マルコ三-28)

といった一節を読むと、神や人の子を冒涜しても赦されるが、聖霊を冒涜したら永遠に赦されないといっているわけだから、明らかに聖霊のほうが神や人の子よりランクが高い。

聖霊>神、人の子(イエス)

というわけだ。
じゃ、聖霊って、いったい何? ということになる。
神学上の難問ではあるが、インテリや坊主を相手にしていたわけではないので、イエスが抽象的なことをいったとは思えない。

庶民にも理解できるものだったはずだ。仏教で説く「法」のようなものと考えれば、すっきりするが、別段、結論は急がなくてもいいので、じっくり考えてみることにする。

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September 08, 2006

チューインガム『ゴールデン☆ベスト』

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「リルケの詩集」は、どこへ行った

「ブログを書くひまがあるなら、仕事せよ」とのお取引先の無言(一部、有言)の圧力に負けて、更新をサボっていたら、どうやって書けばいいのか忘れてしまった。

むかーし、都下(小金井)の安アパートで、無聊の日々を送っていたころ、FM東京から流れていた、チューインガムという女性デュオの「リルケの詩集」をテープに録り、それこそテープがすりきれるまで聞いていたことがあった。なんということもない詩だったが、きれいなハーモニーが印象に残った。

チューインガムについては、もう1曲「風と落葉と旅びと」を歌っていたことぐらいしか覚えておらず、そもそも当時から詳しくは知らなかった。
先日、ふと思い出して、どこかで聞けないものかと思い、ネットで検索したら、ベストアルバムが発売されているではないか。
そんなにメジャーではないと思っていたので、びっくり。さっそく購入した(ジャケットはアマゾン。5%オフになっています)。

いやー、透明感のある声で、ハーモニーも美しい。実にええわ。
松田マミちゃん(呼び捨てにできない)とりかちゃんの姉妹デュオだということ。ヤマハのポプコンで注目されたこと。デビューしたとき、12歳と10歳だったこと。デビュー曲の「風と落葉と旅びと」は、りかちゃんの作詞・作曲だったということ、などを初めて知った。

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August 25, 2006

平井和正『幻魔大戦deep』

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東丈も、ふけたなあ

過去が押し寄せるといえば、この作品もそう。
まさか『幻魔大戦』の続編が生きている間に読めるとは思わなかった(まあ、死んでしまっては読めないわけだけどね)。
もっとも印刷物ではなく、デジタルノベルだ。
もともとは携帯向けに連載されたものらしい。

携帯では、とうてい読む気は起こらないので、パソコンで読めるのはありがたいと思ったが、パソコンの画面で読むのも結構つらい。
はじめて電子書籍を読んだが、読みにくいこと、この上ないね。
中年以上には、ちょっと厳しいのではないか。
明らかに読む前より視力が減退し、しかも元に戻らない。

それは、ともかく『幻魔大戦deep』。
もちろん、80年代に一世を風靡した『幻魔大戦』『真幻魔大戦』にあった狂おしいまでの熱気は感じられないが、すいすい読ませる力は衰えていない。それなりに、おもしろく読めた。

あたりまえだが、主人公の東丈は相当に、ふけている。はっきりいえば、ぬけがらのようだ(ただし、性的には随分、奔放になっている)。
オーラもなくなっていて、どちらかといえば姪の東美恵、東美叡(パラレルスペースの東美恵)、新しいキャラの雛崎母娘のほうが元気に見える。

本題がなかなか始まらず、いらいらさせられるのは相変わらず。
複数の並行宇宙が登場するが、どの世界も『幻魔大戦』『真幻魔大戦』の世界より、幻魔襲来の危機は遠い。
もっとも、『幻魔大戦』に登場した木村一枝が登場するのは、まいった。
あの世界は滅びたはずじゃないの。
あまり意味のない、過去の否定はやめてもらいたいものだ。

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太陽系の惑星が8個に

幻の太陽系24惑星時代

うーん、そりゃないぜ。
「惑星から冥王星を除外する」との国際天文学連合(IAU)の決定を聞いて、肩を落としてしまった。
「惑星が12個に」との案を聞いたときは、胸が高鳴ったものだが、正式決定にはがっかり。
思わず「そんな大事なことを、国際天文学連合が決めていい、とだれがいったんだ」と毒づいてしまった。

確かに天文の話ではあるが、「惑星とは、こういうものだ」とか、「恒星とは、どーだ」とか、といった「定義権」をIAUが独占しているのは、なんか気に入らないなあ。
特にIAU総会の議論のなかで、「たった7人で作った定義案(※惑星を12個にする案)を、なぜ受け入れなければならないんだ」との反論があったとの報道(毎日新聞2006年8月24日)を目にして、余計、腹が立ったね。

そりゃ、こちらがいいたいよ。
IAUの会員数が何人か知らないが、「たった数千人で作った定義を、なぜ、われわれが受け入れなければならないんだ」。
もっとも、惑星が増えてたら、いちもにもなく受け入れていたが。

2003UB313だけでなく、セレスやカロンも惑星と考えるという最初の提案は、しびれたね。
自動的に、近年発見された直径がセレス(950キロ)以上のセドナやクワイワーなども惑星に昇格することになる。
惑星の候補は3個以外にも12個あると報道されていたから、太陽系24惑星時代が幕を開いたかもしれない(最終的には50惑星以上になったかも)。
残念でならない(12個の名前を知りたいな。名前がついていれば)。


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May 30, 2006

「見れる」と「見られる」

「見れる」がキモイ?

先日、ある人と話していたら、「言葉の乱れ」の問題になった。その人があげた例が「見れる」。「『見れる』と聞くと、気持ち悪い」といっていた。

小生は「可能形を『見られる』というふうに表現するほうが、よっぽど気持ちが悪い」と思うが、国語教育の成果か、この方は「見れる」を気持ちが悪い、と。
すんなり聞き流せない性格なので、思わず熱く語ってしまった。

確かに標準語では「見れる」は×だが、これは明治政府が標準語を決めたときに、東京の一角で使われていた「見られる」を採用したからで、全国的には「見れる(の方言も含めて)」のほうが圧倒的に多い、というふうな文章を本多勝一の本で読んで以来、「そうだよな」と納得している。

だいたい「見られる」じゃ、可能形か受動態か区別がつかないでしょ。
可能形を「見れる」にすればスッキリすると思うが。

とはいえ、規則は規則なので(「見れる」と書いたら、「見られる」と直されることもあって)、商売で書かなきゃいけないときは「見ることができる(できない)」と書いている。

「見られる」と書くより相当にマシだが、なんとなくシャクではある。

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May 29, 2006

ジョナサン・ストラウド『バーティミアス 3  プトレマイオスの門 』理論社

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リアルな魔法世界

待望の新作『バーティミアス 3  プトレマイオスの門 』をようやく読み終えた。 実におもしろい。個人的にはハリーなんとかシリーズより何倍かおもしろいと思うが、それは好き好きか。

魔法が支配する大英帝国を舞台に(現実のイギリスではなく、一種のパラレルスペース。まだアメリカは大英帝国の植民地のようだ)、魔法使いナサニエルと彼が使う魔物バーティミアスを主人公にした物語が展開していく。

バーティミアスは、ものすごくいい奴だが、ナサニエルのほうは権力志向が強く、第2巻では、ものすごくイヤな奴になってしまった。第3巻では情報長官に出世しており、ますます鼻持ちならなくなっている。

表面的には、なんとか安穏をたもっているが、市民たちの「魔法体制」への不満は強く、ちょっとしたことがきっかけで、暴動もしくは革命が起こるかもしれない状況だ。支配者である魔法使いたちは市民の不満に耳を傾けず、魔物の力を借りて自分たちの勢力争いに汲々としている。

ちょっと長いが、一気に読ませる筆力は相変わらず。ジョナサン・ストラウド、ただものじゃないね。訳もうまい(金原瑞人、松山美保)。ラストシーンでは、思わず涙が。

3部作としては完結したが、背景となる世界を、これだけで捨ててしまうのは、もったいない。続編でなくとも、いろいろな物語が生まれそうな世界ではある。

1巻から順に読むことをオススメ。

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May 24, 2006

「DEATH NOTE」が映画化

人気コミックを実写化

このノートに名前を書かれた人間は死ぬ。
死神が落としたノートはおそるべき「殺人兵器」だった。
ノートを手に入れた天才高校生(映画では大学生)は凶悪犯の名前を次々にノートに書き入れ、たんたんと完全犯罪を実行していく――。
『週刊少年ジャンプ』連載の人気コミックが映画化された。
しかも前編(6月上映)と後編(10月上映)の2部形式。

原作は大好きだが、正直、期待していいのか悪いのか。
アクション場面らしきものは、あまりないので、心理劇に近いものになるだろう。
監督は金子修介(期待できるかも)。うまくつくれば大傑作。
そうでなければB級映画か。

期待したい要素がもうひとつ。
主人公・夜神月(ライト)は藤原達也が演じるが、そのライバルとなるLを演じている松山ケンイチが(予告編を見る限りでは)原作そっくりなのだ。

相当、研究しているんじゃないかな。
頑張る役者がひとりでもいると、映画は締まる。
松山ケンイチ。初めて聞く名前だが(すみません)、いい役者のような気がする。

ちなみに、原作はジャンプの読者層と必ずしも一致していないせいか、結構、巻末に近い週があって、ドキドキしたものだ。
ジャンプは読者の人気が高い順に編集している(表紙に近いほうが人気が高いことになる)。巻末になると(巻末が続くと、だったかな)、連載中止になるという過酷なシステムだ。

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May 23, 2006

宮崎駿本、出版決定

近日、お目見え(とはいっても、2~3カ月先)

お知らせです。近々、小生が宮崎アニメを論じた本を出版できることになりました。このブログの『千と千尋』『ハウルの動く城』で書いた内容を取捨選択し、大幅に加筆した内容になると思います。ブログだから書けたバカ話もあるので、そういう話はカットします。

本といっても小冊子に近く、全部で100ページ程度(もっとも扱う作品を増やしていけばページ数も増えていきますが)。通常の単行本の半分程度です。
詳細が決まり次第、またお知らせします。

となると、このブログの『千と千尋』『ハウル』をどうするか。カットすると、柱が消えちゃいますね。もう1本の柱にするつもりだった『2001年宇宙の旅』は、まったく書いていないし。うーん。どうするか。

今年、年頭のライターとしての決意は新分野進出でした。いままで、趣味として手がけてきた

①古代史
②サブカルチャー(映画、アニメ)
③宗教

の3つのジャンルに、なんとか参入したいと思ったものでしたが、どうやら①と②は望みがかなえられたようです。すごい! あとは宗教だけですな。


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May 22, 2006

R・A・ラファティ『宇宙舟歌』国書刊行会

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宇宙ほら話

またまた国書刊行会。ホント、頑張ってるね。ホメロス『オデュッセイア』をモチーフにして、宇宙へ置き換えた作品。世界各地の神話とか、ファンタジー、SFなどのパロディ、一節などもぶちこみ、ラファティらしい「ほら話」に仕上がっている。

たとえば、「旅の仲間がバラバラになりはじめた(正確ではありません)」の一節は『指輪物語』、ノヴァのまぶしき光のために盲目になった詩人(これも正確ではない)の一節はサミュエル・R・ディレーニーの『ノヴァ』から。
あれ、『ノヴァ』って、いつ出たんだっけ? この作品は1968年の刊行だが、こっちのほうが早いなんてことはないよね。

この作品、『オデュッセイア』を題材にしているだけで、忠実な「再話」ではない。で、気になったのが、巻末の訳者の解説。
こんな記述がある。

「oddyseyはここから転じて冒険旅行を意味する普通名詞としても使われる。たとえば映画『二〇〇一年宇宙の旅』の原題は2001:A Space Oddyseyである。だが、宇宙の『オデュッセイア』と言えば、キューブリックではなく本作の方だ」(237ページ)

うーん、それはちゃいまっせ。
『二〇〇一年宇宙の旅』こそ、かなり忠実な『オデュッセイア』の再話です。
その証拠に、主人公のオデュッセウスはもちろん、カリュプソも出てくるし、キルケ、ナウシカ、ペネロペイア、セイレン、キュクロプロスら、『オデュッセイア』の主要メンバーも皆登場する。

話の順番も『オデュッセイア』にしたがっている。単なる宇宙の冒険旅行だから、「オデッセイ」とつけたわけではないのだ。この点は改めて。


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May 18, 2006

梅の実

ことしは、いくつ実るかな

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毎日1回、散歩のついでに、庭の梅の木をチェックしているのだが、今年は結構、梅の実がなっている。
昨年は、すべて梅酒にしてしまったが、ことしは他のことにも使えるかも。
昨年は度数の高いスピリッツと大量の氷砂糖を入れたため、ソーダか何かで薄めないと飲みにくかった(でも、おいしかった)。
今年は度数を少し下げてチャレンジしてみるつもり。

で、本題。
ついでに家の周囲を見回ったところ、下水溝の脇に、へんなものを発見した。
はじめて見る。

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あきらかに「きのこ」だが、こんな日当たりのいいところでも、はえてくるんだ。
まさか食べれはしないと思うが、撤去する前に撮影しておく。
たしかに、このところ湿っぽい天気ではあったが。

ちなみに自宅は田園地帯の一角にあるので(片田舎ということ)、自然は豊富。
おいおいご紹介します。


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